四代目 粟田口清信
(信 行 NOBUYUKI)。端午の節句は、五月の端の午の日に行われていた行事ですが、やがて今のように五月五日に定着しました。菖蒲の節句ともいい、菖蒲の花を用いて作った兜が飾られました。
菖蒲は邪気を払い、また尚武(武勇を重んじる意味)という言葉と同じ響きからも、男の子の無病息災を祈る祝いの日となっています。
江戸時代に、武家が甲冑類を並べ飾り、庶民が鯉のぼりを高く掲げました。江戸後期には室内で武者人形や小型の甲冑を飾るようになりました。 現在、粟田口にて制作が行われている五月人形。
その歴史は江戸時代から始まっています。
五月人形は子どもの健やかな成長を願うため、南北朝時代の華美な甲冑を模して作られました。
甲冑は戦のための道具として以外に、平和の象徴としての一面も持ち合わせています。
- 昭和64年
- 伝統工芸士
- 平成24年
- 勲六等瑞宝章
- 平成21年
- 厚生労働省 卓越技能章(現代の名工)
- 平成13年
- 京都府伝統産業優秀技術者(京の名工)
伝える こだわりと育まれた手業
昔と同じ素材を使うことに強いこだわりを持っています。着物を着て靴を履くようなことはしたくない、粟田口の甲冑と呼べる最低限のラインを守りたい、と真剣に取り組んでいます。
時代祭の行列で身につける鎧兜の復興にも取り組みます。
人間が身に着ける鎧兜も五月人形の鎧兜もその製法は同じである。
つまり、五月人形の鎧兜もほんものであると言えます。
五代目 粟田口清信
(伊智郎 ICHIRO)。現在、五月人形を飾り、端午の節句をお祝いう家庭は減ってきています。こんな時代でも昔ながらの文化を守ってほしいと願っています。
端午の節句に限らず、一つひとつの年中行事を家族全員で楽しんでほしい。
形式的に祝うのではなく、大切なのは行事を通して家族が集まることです。
家族の健やかな成長を願い、共に過ごす時間を大切にすること。家族のかたちが変化して きた現代だからこそ、一緒にいることを大切に思う心が必要になってきます。
どれだけ月日が流れても、人が人を思う気持ちは変 わらないでいてほしい。
- 平成24年
- 伝統工芸士
受け継いだ 伝統と節句への想い
大学で禅を研究しました。そして今、鎧兜を通じて、幼い子供たちにほんも のの持つ力、一つずつ違う手作りの良さを伝えることが、 情操教育に繋がると考えています。
伝統工芸を通じて、文 化、そして精神性を伝える活動に取り組んでいます。
お客様には良いものを手に取ってほしいと思っています。 それは本物を作り続ける職人としての誇りです。